これ重要です。
用途変更して旅館・下宿・寄宿舎等にする場合、かなりコストに影響します。
いづれも、いま流行りの民泊であったり、シェアハウスであったりします。
法35条、36条の避難・消火規定及び防火区画に関する規定から、施行令の112条から114条に波及するのですが、「・・・ホテル、旅館、下宿、寄宿舎・・・の用途に供する建築物の当該用途意に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁を準耐火構造とし、小屋裏または天井裏に達せしめなければならない。」とあります。
一般の住宅から民泊等へ用途変更する場合に、この条文がかなりネックになります。普通戸建て住宅で内部の間仕切壁を天井まで準耐火構造の壁では造りませんので、この条文に素直に従うと莫大なコストがかかります。まず現実的ではないです。でも役所に相談に行くと、これ必要です、とかるく言われてチン!計画を断念しなければいけない気になってきます。
そこで、緩和規定として、国交省告示や国住指を探し出し、これに助けを求めるのですがそれでも相応の費用はかかります。
で、ちまたには無許可の民泊やシェアハウス、寄宿舎が多数発生し、火災事故が起こったりして社会問題になります。
消防法と建築基準法、どちらが厳しいか?
どちらも法律という観点からは同じ規制、レベルです。基準法は基準法、消防法は消防法、それぞれの規制がかかります。
先日、民泊に関して、消防と打ち合わせしました。当方は法律を素直によんで、消防署の言い分が法文を厳しく解釈しすぎではないかと問いただします。で、消防署の言い分、「火災が起こって、消火に行くのは私たちです。事故の悲惨さも知っています。厳しいほうの解釈をするのは当然だと思います。」といわれて、たしかにその通りだと思いました。加えて、消防署は建築基準法もしっかり勉強していて、かなり詳細部まで突っ込んできますので、こちらも理論武装していないとやられてしまいます。
ただ通常は私たちは、事業を行う方(施主等、すなわち私の側の方です)の立場を取っていますので、事業の採算性等を考えると、行政の指導に対して「はいそうですか」と簡単に応じる訳にもいきません。
グレーゾーンの解釈については、関わる人間それぞれの思いもあり、それを調整しながら事案を進めていくのも私の仕事なのですが、安全とコスト、最終的にはコンプライアンスになるのですが、なかなか悩ましいです。